法人契約のがん保険の保険料通達の一部改正案でパブコメ 改正後は資産計上が必要なケースも
前払期間における年間支払保険料のうち1/2を資産計上
国税庁は2月29日,「法人契約の『がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障タイプ)』の保険料の取扱いについて」の一部改正案をHPで公表し,行政手続法に基づく意見公募を始めた。3月29日まで。
法人契約のがん保険(終身保障タイプ)を巡っては,最近は金融商品の多様化により解約返戻率や前払料率の高い保険商品が散見され,現行の取扱いについて実態に合わせた見直しを行う。現行のがん保険の保険料に関する税務上の取扱いでは,終身払込の場合は支払保険料全額を損金に算入するが,今回の改正案では支払保険料のうち一定期間は前払保険料の割合があるものとして,各年の支払保険料のうち2分の1相当額を前払金等として資産に計上し,損金算入は残り2分の1にとどめる取扱いに改める。ただし,解約返戻金等のない一定の保険契約に係る保険料については例外的に全額損金に算入する方向だ。
前払期間経過後に資産計上した累計額を取崩し
現行の法人契約の「医療保険(終身保障タイプ)」の保険料の取扱いは残すが,今回の改正案は「がん保険(終身保障タイプ)」の保険料の取扱いを廃止。意見公募を踏まえた一部改正案を新たな法令解釈通達として発遣する予定。
一部改正案では,法人が契約した「がん保険」の保険料の支払いについて,終身払込と有期払込(一時払を含む)の場合に整理。終身払込の場合には,加入時の年齢から105歳までの期間を「保険期間」とする。保険期間開始時から保険期間の50%に相当する「前払期間」を経過するまでは,各年の支払保険料のうち2分の1相当の金額を前払金等として資産に計上し,損金に算入する額は残る2分の1にとどまる。
一方,前払期間経過後の期間は,各年の支払保険料を損金に算入するとともに,それまで資産に計上していた累計額から一定の算式で求めた額を取崩して損金に算入する。
例えば,法人が25歳で加入した従業員のがん保険契約の年間保険料10万円全額を支払う場合,前払期間に当たる65歳までは10万円のうち5万円を損金に算入し,残る5万円を資産に計上。65歳経過後は年間保険料10万円に加え,資産に計上した累計額から毎年5万円を取崩した計15万円を損金に算入する計算となろう。
有期払込の場合も前払期間は1/2を資産計上
一時払いを含めた有期払込の場合には「前払期間」と「前払期間経過後の期間」に分け,それぞれ①保険料払込期間が終了するまでの期間②保険料払込期間が終了した後の期間の処理を整理。基本的には終身払込の考え方と同様だが,前払期間においては,保険料払込期間を保険期間で割った期間に,支払保険料を乗じた年額の「当期分保険料」を求める。
当期分保険料の2分の1と当期分保険料を超える金額を前払金等として資産に計上し,残り2分の1を損金に算入する。払込期間終了後の期間は資産計上額から一定額を取崩して損金に算入する処理を示している。